不動産売却時には、売主と買主は売買契約書などのさまざまな書類を取り交わします。
そのうちの一つである告知書も、不動産売却において重要な書面です。
そこで今回は、不動産売却における告知書とは誰が作成するべきなのか、作成時の注意点とともに解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産売却に必要な告知書とは?
告知書とは、物件状況報告書とも呼ばれている書類のことです。
不動産売却において売主には契約不適合責任があり、買主に対して物件が抱える瑕疵(不具合や欠陥)を正しく告知しなければなりません。
告知書はそのときに用いられる書面のことです。
記載すべき事項には、おもに以下の内容があります。
●雨漏りの有無
●シロアリ被害の有無
●隣地との境界越境の有無
●地盤沈下の有無
●周辺の住環境に影響を与える施設(ゴミ処理場、火薬類貯蔵施設など)の有無
●近隣における建築計画の有無
不動産売却で告知書が必要な理由
買主へ告知すべき事項は、口頭ではなく書面に残す必要があります。
中古不動産である以上、多少の問題が生じているケースは珍しくありません。
それがどんなに些細なものであっても、もれなく告知書に記載するようにしてください。
書面に残しておかないと不動産売却後にトラブルとなり、契約解除や損害賠償を請求される場合があります。
契約不適合責任においても、売買契約書や告知書へ記載してあるかどうかで、買主への説明責任が果たされているかを判断するので注意しましょう。
買主へのアピール材料になる
告知書への記載するべき事柄は、不具合や欠陥などのマイナスポイントだけではありません。
たとえば、過去に実施した修繕・リフォーム履歴を記載すれば、適切に物件を管理していた証明になるでしょう。
シロアリの予防工事などの対策をおこなっている場合も、告知書に記載して積極的にアピールするのがおすすめです。
売主側では修繕していない不具合があったとしても、リフォームなどで対応できる範囲であることがわかれば、買主は安心して購入判断できるメリットもあります。
不動産売却における告知書は誰が記入する?
不動産売却において、売買契約書や重要事項説明書は仲介する不動産会社が作成するのが一般的です。
ただし告知書については、原則として売主が自分で記入します。
告知書には売主の署名・押印欄があるので、売主に記入責任もあるためです。
告知書を作成するタイミング
告知書は、売買契約の締結時に買主へ渡す書類です。
そのため、基本的には売買契約前に完成していれば問題ありません。
しかし告知書を作成するにあたり、物件の状況をチェックしたり、過去の修繕・リフォーム履歴をまとめたりする必要があります。
作成に時間がかかることもあるので、余裕を持ったスケジュールで記入を進めていきましょう。
不明な点があれば、仲介を依頼した不動産会社に確認しながら作成するのがおすすめです。
不動産売却で告知書を作成するときの注意点
不動産売却にあたり告知書を作成するときには、以下の注意点に気を付けましょう。
不動産会社に任せきりにしない
告知書にどの程度まで記入すれば良いのかわからない場合、仲介を依頼する不動産会社へお任せしたくなるかもしれません。
しかし、物件の状況や過去におこなった修繕・リフォーム履歴などは、第三者である不動産がすべてを把握することは困難です。
物件に生じている不具合も、普段から使用している売主のほうが詳しく状況を把握していることでしょう。
付帯設備表についても、売主は撤去するつもりでいた設備を、不動産会社が「有り」と記載してしまうなどのリスクがあります。
このような認識の違いによる誤記入を防ぐためにも、不動産会社に任せるのではなく、売主が自分で作成するようにしましょう。
過去の補修履歴がわからない場合
たとえば相続で取得した空き家などは、売主であっても過去の補修履歴がわからないこともあるのではないでしょうか。
このようなケースでも、可能な限り過去の履歴を調査してください。
当時の売買契約書や工事請負契約書、図面、領収書などからも、過去に実施した補修履歴がわかる場合もあります。
施工業者がわかるときは、業者へ問い合わせるのもおすすめです。
不具合などの対応状況も記載する
土地や建物に生じている不具合については、以下のポイントも詳しく記載しましょう。
●不具合が発生した時期
●不具合の内容と対応状況
●現在の状況(再発の有無など)
何らかの問題が発生していたとしても、その時期や内容によっては、買主も納得のうえで購入判断できます。
ホームインスペクションの活用もおすすめ
過去の補修履歴などが残されていても、すべての不具合を個人で把握することは困難です。
そのような場合には、専門家によるホームインスペクションを活用してみてはいかがでしょうか。
建物に不具合が生じていないかどうかだけでなく、修繕すべきタイミングなども調べられます。
一定の基準を満たすホームインスペクションに合格すれば、瑕疵担保保険に加入できるのもメリットです。
万が一引き渡し後に何らかの問題が発覚しても、瑕疵担保保険に加入していれば、保険会社が売主に代わって補修費用を負担してくれます。
また売主ではなく、買主がホームインスペクションの実施を希望することもあります。
許可するかどうかは売主に決定権がありますが、不動産売却をスムーズに進めるためにも、基本的には買主の意向にしたがうのがおすすめです。
買主の意向でホームインスペクションを実施したときは、以下の注意点を確認しておきましょう。
●ホームインスペクションの結果は売主にも提示すること
●第三者に診断結果を口外しないこと(風評被害を防止するため)
仮にその買主とは売買契約に至らなくても、ホームインスペクションの結果を活用すれば、売却活動の方針を見直せます。
販売開始前までに完成させておく
告知書を短時間で作成しようとすると、記入漏れやあいまいな記載となるリスクがあります。
さらに、内覧の段階で購入希望者から不動産の状況について詳しく質問されることもあるでしょう。
そこで、告知書は販売開始前に完成させておくことをおすすめします。
販売開始前に作成しておけば、あとから記入漏れに気が付いてもすぐに対応できます。
また、内覧時に買主へ説明する際の資料としても活用できるでしょう。
心理的瑕疵も告知する必要がある
告知書には、土地や建物に生じている物理的瑕疵だけでなく、心理的瑕疵も含まれます。
たとえば自殺や孤独死などが発生した事実は、買主の購入判断に大きな影響を与えると考えられます。
心理的瑕疵に関する告知については、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」により、次のように定めています。
●自然死・日常生活における不慮の事故死(誤嚥、転倒など)
●上記以外の死や、特殊清掃が必要な孤独死などの発生から、おおむね3年が経過したとき(賃貸借取引)
上記に該当するものは、告知の必要はないとガイドラインでは提示しています。
賃貸物件の場合、事由の発生からおおむね3年を超えると、入居者へ告知しなくても問題はありません。
しかし不動産売却では期間の定めはなく、長期間が経過していたり、事故発生時の建物が解体されたりしていても、告知義務があると判断される場合があります。
マンション売却では、エントランスや駐車場などの共用スペースで発生した事由についても告知が望ましい場合もあるのが注意点です。
そのため、物理的瑕疵と同様、告知すべきか迷ったときは不動産会社に確認するのがおすすめです。
まとめ
告知書とは誰が作成する書類なのか、不動産売却における注意点とともに解説しました。
引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、告知書は売主が責任を持って正しく記入する必要があります。
なれない不動産売却では迷う場面もあると思われますが、不動産会社と相談しながら作成を進めていくのがおすすめです。