近年、日本の空き家増加にともない、空き家を民泊化するビジネスをおこなう方が増えています。
空き家を民泊として利用すると日本の空き家問題や地域の活性化に貢献しつつ、自身の収入にもなるため、さまざまな方にとってメリットのあるビジネスが可能です。
そこで今回は、空き家を所有している方や今後相続する予定がある方に向け、空き家で民泊を始めるメリットや手順について解説します。
民泊の制度をきちんと理解し、空き家における適正な民泊経営をおこないましょう。
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近年、日本の人口減少にともない、空き家が増加しており、問題となっています。
日本の住宅市場では、住宅のスクラップアンドビルドという考え方が一般的であり、「住宅は新築であるべき」という新築信仰が誕生しました。
アメリカなどと比べ住宅の中古市場が成熟せず、中古物件の流通が少なく、住宅の過度な供給により空き家が増加しているとされています。
空き家の問題とは?
住宅は、メンテナンスが必要です。
しかし、住宅が空き家となると、誰にもメンテナンスされず劣化していくばかりです。
劣化具合によっては、周りの景観を損ねたり、倒壊による危害を加えたりする恐れがあります。
日本では2015年に空き家対策特別措置法が施行され、行政が倒壊や周りの環境を害する空き家を特定空き家等に認定できるようになりました。
特定空き家等に認定されると、行政が助言や勧告、命令などができるようになります。
最悪の場合、行政代執行といって強制的に住宅を解体され、費用負担をしなくてはならない場合があります。
また税金の負担も増加する恐れがあり、特定空き家等に認定され勧告以上の措置を受けた場合、固定資産税の緩和措置が受けられなくなるので注意しましょう。
民泊とは?
空き家の活用として、注目されているのが民泊です。
外国からのインバウンドを背景に民泊を経営する方が増えてきています。
民泊とは、自宅や投資用として購入したマンション、相続した実家などを宿泊施設として経営する方法です。
賃貸経営とは異なり、短期での宿泊が目的であり、主に日本へ旅行に来た外国人がターゲットです。
インターネットによる仲介サイトなどもあり、手軽に始められます。
民泊の種類とは?
民泊には、大きく分けて以下の3種類があります。
●旅館業法民泊
●特区民泊
●民泊新法
以下、簡単に解説します。
旅館業法民泊
旅館業法民泊は、年間の宿泊制限や最低宿泊日数がない民泊です。
年中稼働できるため、収益にも繋げやすい特徴があります。
旅館業法民泊を始めるには、保健所が定めた安全基準などをクリアする必要があるため、始めるにはハードルも高くなっています。
特区民泊
国が民泊できる地域を指定している地域で始める民泊です。
特区民泊ができる地域は「大田区や大阪市、北九州市、新潟市」などが挙げられます。
最低宿泊日数が2泊3日に定められており、始める際は都道府県に対して申請が必要です。
民泊新法
旅館業法民泊や特区民泊に当てはまらない民泊であり、比較的簡単に始められる民泊です。
2017年に民泊新法が成立され、旅館業法や特区民泊の許可がなく、WEB上で書類を提出すれば始められます。
年間の宿泊日数が180日以内と定められており、ほかにも家主がいない場合は、管理業者へ管理を委託しなければなりません。
空き家の民泊化!民泊を始めるメリット・デメリット
ここでは、空き家で民泊を始めるメリットとデメリットを解説します。
空き家で民泊を始めるメリット
収入が得られる
民泊を始める最大のメリットと言えば、収入が得られるという点です。
空き家を利用することにより初期投資を抑えられるので、リスクが低く、収入が得られます。
本来民泊を始めるなら、不動産を購入して始める必要があります。
しかし、空き家を利用するなら不動産を購入する必要がないので、安全に副収入が得られるでしょう。
空き家を活用したいが、賃貸経営まではハードルが高いという方にとっては、民泊から始めてみるのがおすすめです。
空き家を保有できる
空き家の活用に困り、空き家を手放す方も増えています。
空き家は、メンテナンスを必要とし、活用しなければ修繕費や税金などといったお金だけがかかります。
空き家のメンテナンス費用に耐え切れず手放す方も多く、民泊として利用することで手放さず保有できる可能性が高まります。
新しい活用方法を探すまでのあいだに、とりあえず民泊として利用しておくのも良いでしょう。
観光産業や地域に貢献できる
日本の収入に対する観光産業の割合が増えてきています。
観光産業は日本の大事な収入源の一つであり、民泊経営をすることで日本の観光産業に貢献できます。
また民泊を始めることで宿泊先がなく困っている外国人観光客の受け皿にもなることが可能です。
地域にも貢献できる可能性があるので、地域貢献に興味がある方は民泊経営をはじめても良いかもしれません。
空き家で民泊を始めるデメリット
民泊を始めるなら、民泊のメリットだけでなく、きちんとデメリットも把握したうえでおこないましょう。
収入が安定しない
民泊経営は、賃貸のように継続的な収入ではなく、あくまでスポット的な収入です。
もちろん多くの民泊を経営していれば、平準化され安定感も出ますが、空き家を民泊として始めるだけなら安定的な収入は難しいかもしれません。
実際に新型コロナウィルスの影響によりインバウンドが激減し、多くの方が民泊経営から撤退しています。
副収入として民泊をおこなうのは問題ありませんが、主な収入源として民泊を経営するなら、きちんと計画を立てる必要があるでしょう。
年間宿泊日数に制限がある
民泊新法で民泊をおこなう場合、年間宿泊日数の上限が180日とされています。
旅行業法民泊や特区民泊なら宿泊日数の上限がなく、フル稼働できますが、始めるにはハードルが高いです。
民泊を始めるなら民泊新法が現実的であるため、民泊シーズンなど戦略性を持って取り組む必要があります。
近隣住民とのトラブル
民泊に欠かせないのが近隣トラブルです。
民泊を始めた結果、外国人が出入りするようになりオーナーと近隣住民がトラブルになるケースがあります。
空き家で民泊を始めるなら、きちんとしたルールを設けるなど近隣住民に配慮しましょう。
空き家で民泊を始める手順とは?
最後に空き家で民泊を始めようとお考えの方に向け、始めるための手順について解説します。
手順①民泊の形態を決める
まずは民泊の形態を決めましょう。
先述したとおり、民泊には「旅館業法民泊、特区民泊、民泊新法」の3種類あり、もっとも簡易的に始められるのが民泊新法です。
民泊には家主居住型と家主不在型がありますが、空き家の民泊なら基本的に家主不在型になります。
家主不在型の場合、管理業者に業務委託する必要がありますので注意しましょう。
家主不在のまま民泊経営をしては、法違反となります。
手順②申請をおこなう
申請は観光庁の民泊制度のサイトか、空き家が所在する行政にておこないます。
民泊の申請には、住宅の平面図や非常用照明器具などの安全設備が載っている図面が必要です。
また、消防法に適合している適合通知書が必要であったり、防火管理者の選任が必要であったり、さまざまな書類が必要となります。
そのため、申請に必要な書類は、行政や観光庁のホームページで事前に確認することをおすすめします。
手順③運営の準備をおこなう
申請や届出が完了すると、いよいよ運営の準備をおこないます。
宿泊に必要な家具などを準備し、シャンプーや歯ブラシなどのアメニティも準備しておきましょう。
民泊仲介サイトに登録すれば、集客されますので、あとは待つだけです。
民泊は外国人をターゲットにしているので、多言語にできるマニュアルの作成も必要です。
まとめ
空き家を所有している方や相続で所有する可能性がある方で空き家の活用に困っているなら、民泊を検討してみてはいかがでしょうか。
安定的な収入は難しいかもしれませんが、副収入としては十分すぎる収益を得られる可能性もあります。