親族が亡くなると、何かと忙しいなかで相続についても考えなくてはなりません。
相続財産に収益物件が含まれるケースでは、相続人の決め方や家賃の扱いでトラブルが生じることがあります。
このようなトラブルを防ぐために、相続発生前に収益物件と相続の関係について押さえておきましょう。
ここでは、相続財産に収益物件が含まれる場合の相続人の決め方や、家賃の扱いなどについて解説します。
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収益物件の相続人の決め方とは?
亡くなった方(被相続人)の財産は、残された親族など(相続人)が引き継ぎます。
相続財産は人によってさまざまであり、預貯金や株式、不動産などのほか、借金などのマイナスの財産も相続の対象です。
ここではまず、誰がどの財産を相続するのかの決め方を解説します。
遺言書がある場合の決め方
被相続人が有効な遺言書を作成していた場合は、その遺言書どおりに遺産を分割します。
収益物件が相続財産に含まれる場合も同様で、遺言書に「長男に預貯金を、長女に収益物件を」と書かれているのであれば、収益物件を相続するのは長女です。
ただし、遺言書の内容に相続人全員が不満を抱いている場合など、遺言書があっても遺産分割協議をおこなうケースもあります。
遺言書がない場合の決め方
すべての被相続人が遺言書を作成しているわけではありません。
遺言書があったとしても、有効だと認められないケースや、内容があいまいなケースもあります。
このようなケースでは、遺産分割協議を開いて遺産の分割方法を決定します。
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、遺産の分割方法を決めるために、相続人全員で実施する話し合いのことです。
原則として相続人は全員参加しなくてはならず、全員が合意するまで協議はまとまりません。
誰がどの財産を相続するのか決まったら、協議の内容を遺産分割協議書としてまとめ、明文化します。
ご自身が収益物件の相続人に決まったら
上記のどちらの決め方だったとしても、ご自身が収益物件の相続人となった場合は、相続登記の手続きを忘れないようにしましょう。
相続登記とは、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きのことです。
相続登記はこれまで義務ではありませんでしたが、2024年4月から義務化されることになりました。
正当な理由なく相続登記を怠った場合は過料に科せられる可能性があるため、早めに手続きを済ませましょう。
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収益物件の家賃は相続の対象になる?
相続財産の収益物件に入居者がいる場合は、遺産分割協議をおこなっている最中も家賃収入が発生しています。
家賃収入をどのように扱うかで、相続人同士の意見が割れることもあるでしょう。
ここでは、収益物件の家賃は相続財産になるのか、タイミング別に解説します。
相続開始前
被相続人が亡くなる前に発生した家賃収入は、相続財産です。
たとえば家賃収入が被相続人の銀行口座に振り込まれていた場合、預貯金として扱われます。
相続開始前に発生した家賃収入の扱いはシンプルですが、相続後に注意が必要です。
被相続人が亡くなった年の1月から亡くなった日までに発生した家賃収入は、相続人全員が被相続人の代理として準確定申告をおこなわなくてはなりません。
納税の義務も相続人全員にあり、法定相続分もしくは遺言書に記載された指定相続分にしたがって税額を分配し、納めます。
相続開始後~相続人が決まるまで
相続開始後から相続人が決まるまでに発生した家賃収入は、収益物件の相続人となった方が相続するのか、それとも相続人全員で分配するのか、かねて問題となっていました。
この問題は、2005年9月に最高裁判所が「遺産分割の対象とせず、相続人全員が法定相続分に応じて取得する」との判決を下しています。
これは、被相続人が亡くなってから相続人が決まるまでの間は、相続財産を相続人全員の共有物として扱うことを前提としているためです。
ただし相続人全員の合意があれば、この期間に発生した家賃収入を相続財産として分割することもできます。
また、この期間に発生した収益物件の修繕費・管理費などは、法定相続分に応じて各相続人が負担するきまりです。
この期間に発生した家賃収入を取得した相続人は、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をしなくてはなりません。
相続人が決まったあと
収益物件の相続人が決まったあとに発生した家賃収入はその相続人の所得であり、被相続人の相続財産に含まれることはありません。
相続で財産を取得した場合、民法では相続発生時が取得のタイミングだと考えます。
たとえば、被相続人の他界が2024年4月、遺産分割協議による相続人の決定が2025年4月である場合、その相続人は2024年4月に取得したことになるのです。
しかし、家賃収入は相続財産とは別だと考えるため、相続人が決まるまでに発生した家賃を、その相続人が全額取得することはできません。
例として挙げたケースでは、収益物件の相続人の所得だと見なされるのは、2025年4月の相続人の決定以降に発生した家賃収入です。
相続人が決まったあとに発生した家賃の確定申告は、その相続人がおこないます。
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相続した収益物件を売却する際の注意点とは
相続した収益物件で賃貸経営を続けるのか、それとも収益物件を売却するのかは、相続人の自由です。
ここでは、相続した収益物件を売却する場合の注意点をご紹介します。
タイミングを吟味する
せっかく収益物件を売却するのであれば、なるべく手元にお金を残したいのではないでしょうか。
収益物件を売却する際の注意点のひとつは、売却のタイミングです。
好景気のときに売り出せば高値での売却が期待できますが、景気が低迷している時期にはなかなか買主が見つからないかもしれません。
さらに、収益物件が満室のタイミングや、近隣に商業施設などができるタイミングは、収益物件の価値が上がっている可能性があります。
市場の動向や収益物件の状況を見極めたうえで、売り出すことが大切です。
税制に目を向け、「取得費加算の特例」の期間内に売却してしまうのも良いでしょう。
取得費加算の特例とは、相続した不動産を相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却した場合、すでに支払った相続税の一部を譲渡所得税から控除できる制度のことです。
被相続人が収益物件を取得してからある程度の期間が経っている場合は、譲渡所得税の税率が下がるタイミングを待って売却するのもおすすめです。
譲渡所得税の税率は、1月1日時点での所有期間が5年を超えると、そうでない場合の約2分の1にまで下がります。
所有期間の起点は相続したタイミングではなく、被相続人が収益物件を取得したタイミングです。
収益物件も含め、不動産の相続や売買では多額の税金が発生することが少なくありません。
少しでも節税するために、特例の適用期限や税率が下がるタイミングを確認しておきましょう。
速やかに立ち退き勧告をおこなう
収益物件に入居者がいる場合は、売却するにあたって立ち退き勧告をおこなわなくてはなりません。
入居者の引っ越し期間を確保するため、基本的には売却の1年から半年前までにはおこなう必要があります。
しかし、売却のための立ち退き勧告は貸主都合であり、入居者に退去を強制することはできません。
売却を決めたら速やかに立ち退き勧告をおこない、入居者と意見をすり合わせる期間を設けましょう。
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まとめ
相続財産に収益物件が含まれる場合、悩みの種となるのが家賃収入の扱いです。
相続開始前に発生した家賃収入は、相続財産として扱われます。
一方、相続開始後から相続人が決まるまでの期間に発生した家賃収入は相続人全員の共有財産、相続人が決まったあとに発生した家賃収入はその相続人の所得となるため注意しましょう。
相続した収益物件を売却する際は、売却のタイミングを吟味することと、速やかに立ち退き勧告をおこなうことが注意点です。
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