近年の空き家の増加により、周辺地域の防災面や防犯面、衛生面や景観などに対して多くの問題が引き起こされています。
その事態を受けて、令和5年に空き家対策特別措置法が改正されました。
そんな空き家対策特別措置法について分かりやすく解説します。
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2023年に改正された空き家対策特別措置法のポイント
平成30年に総務省が実施した調査によれば、全国で約849万戸の家屋が空き家となっており、1998年からの20年間で約1.9倍に増加しました。
日本国内では、空き家が増え続けることが社会問題化しています。
この問題に対処するために、定められた法律が「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。
2015年に施行された空き家対策特別措置法(通称:空き家法)は、空き家に関して初めて定められた法律です。
それ以前は、各自治体は空き家の管理について、所有者に対して「お願い」はできても、「指導」などの措置はできませんでした。
しかし、空き家法の施行により、各自治体は空き家の所有者に対して、助言や指導、勧告、命令などの措置を取る権限が与えられました。
この法律は比較的新しいもので、2015年5月に全面施行されましたが、2023年6月に一部を改正する法律が公布されています。
法改正の4つのポイント
令和5年におこなわれた改正のポイントを見ていきましょう。
空き家対策に取り組む自治体からの意見を反映し、より現実に即した制度に改正されています。
1つ目が、重点エリアの設定と方針の明確化です。
今までは、建築基準法などの規制で、古い建物の建て替えや改築が難しい場合もあり、空き家の活用が進まない課題がありました。
この制度では、市区町村が特定の区域と活動方針を定められるようになります。
そして、その区域内の空き家に対して、建築基準法で規定されている接道や用途の規制緩和が可能です。
これにより、従来は難しかった空き家の建て替えや用途変更が促進されます。
2つ目が、官民連携による人手不足・知見不足の解消です。
改正により、市区町村がNPO法人や社団法人を「空き家等管理活用支援法人」として指定できるようになりました。
これにより、専門知識やノウハウを持つ団体の協力を得て、空き家の活用や管理に取り組む自治体の業務負担や知識不足の解消が期待されます。
3つ目が、「管理不全空き家」の新設です。
市区町村長は、放置すれば現行法上の「特定空家」になるおそれのある「管理不全空き家」の所有者に対し、管理指針に即した措置を指導できます。
指導しても、なお状態が改善しない場合には「勧告」が可能です。
行政が早期介入し、空き家所有者に管理を促せば、周囲へ悪影響を及ぼす特定空家化を未然に防げるでしょう。
最後に4つ目が、特定空家への措置の円滑化です。
令和5年の改正では、市区町村長に特定空家の所有者に対する報告徴収権を付与しました。
これにより、緊急で取り壊さなくてはならない特定空家を、命令等の手続きなしで代執行ができるため、迅速な周辺地域の安全確保が可能となります。
また、空き家の解体費用の徴収に対策がとられ、国税滞納処分の例により、所有者の財産に対して強制的に費用徴収が可能です。
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空き家対策特別措置法における特定空家と管理不全空き家とは
現行法では、各自治体が助言や指導できる対象は「特定空家」に限定されています。
特定空家や管理不全空き家と認定されると、どうなるのでしょうか。
カテゴリー分けが難しい特定空家と管理不全空き家の違いを説明します。
特定空き家
特定空家とは、空き家対策特別措置法第2条2項には、下のような状態にある空き家を指すとあります。
●倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
●著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●適切な管理がおこなわれておらず、著しく景観を損なっている状態
●その他周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切である状態
また、特定空家に対する行政指導などの流れは次の通りです。
各自治体は、空き家法に基づいて、指導や勧告、命令などをおこない、空き家所有者に対してペナルティを課します。
まず、勧告の際に、空き家の建つ土地の「住宅用地特例」が除外されます。
住宅用地特例は、固定資産税を軽減できるルールです。
これにより、空き家の建つ土地の固定資産税の負担額が大幅に増加します。
勧告に従わない場合、「命令」に背くと50万円以下の過料が科されます。
最終的には、「代執行」により空き家が撤去され、解体にかかった費用は所有者に請求されるので注意が必要です。
管理不全空き家
空き家法における新たな固定資産税減額解除の対象である「管理不全空き家」とは、放置すれば特定空き家となるおそれのある空き家を指します。
管理不全空き家は、各自治体からの指導と勧告の対象です。
特定空家と同様に、勧告のタイミングで空き家の建つ土地の「住宅用地特例」が除外となり、実質的に固定資産税の負担額が大幅に増額されます。
市区町村で把握されている現存の特定空家は約2万戸ですが、管理不全空き家はその12倍にあたる約24万戸にのぼります。
2023年末には、固定資産税減額解除の対象となる空き家がこれだけ増えているので、空き家の所有者には早急な対策が求められるといえるでしょう。
特定空家や管理不全空き家に認定されるとどうなるのか
特定空家や管理不全空き家と認定されると、次のような影響があります。
1つ目は、固定資産税の増額です。
特定空家や管理不全空き家に指定されることで、固定資産税の減免措置の対象から外れ、通常の税率が適用されてしまうかもしれません。
これにより、所有者は税金の支払いが増えることになります。
2つ目は、指導や勧告の対象となります。
特定空家や管理不全空き家は、自治体からの指導や勧告の対象です。
自治体は、所有者に対して空き家の有効活用や管理に関する指導や勧告をおこないます。
したがって、所有者は特定空家や管理不全空き家の認定を避けるために、適切な管理や活用策を検討する必要があります。
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空き家対策特別措置法において空き家認定されないための対策
空き家の固定資産税増税や過料を回避する方法は、以下の通りです。
空き家の適切な管理
空き家を適切に管理することで、周囲への危害を与えるリスクを低減します。
定期的な清掃や修繕をおこない、空き家法の対象となるリスクを軽減しましょう。
また、自治体からの指導や勧告に従い、管理状況を改善するのも重要です。
空き家の有効活用
空き家を有効活用すれば、特定空家や管理不全空き家の指定を回避できます。
具体的な方法としては、賃貸物件に出したり、民泊を経営したり、土地活用のために解体したりするケースも考えられます。
自分や親族が住む予定がない場合でも、第三者に利用を促し、空き家の状態を改善しましょう。
空き家の売却
空き家を所有し続けると、固定資産税の増税や過料のリスクが続きます。
そのため、売却を検討するのも一つの方法です。
空き家を手放すことが、管理や経営にかかる手間や費用を省くことに繋がります。
空き家法の改正により、固定資産税の増税や過料を避けるために、多くの所有者が空き家を市場に放出する可能性が考えられます。
このような供給の増加が起こると、需給バランスが傾き、空き家の価値が低下するかもしれません。
不動産市場の変動や法律の改正に対応するために、不動産会社の意見やアドバイスを得るのは重要です。
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まとめ
改正された空き家対策特別措置法では、所有者に対して課税が可能になりました。
所有者には、これまで以上に徹底した空き家の管理が求められます。
利用する予定のない空き家をお持ちの場合は、有効活用や売却を視野に入れ、不動産会社に相談するのをおすすめします。
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